イカ様はタコなぐり
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「エリスと巨人」

あるところに巨人がいました。
巨人は村の外で、ずっと立っていました。
村の人達は巨人を怖がって、近寄りませんでした。

ある日、小さな女の子が巨人に挨拶しました。

「こんにちは、私はエリス。アナタの名前は?」

巨人はピクリとも反応しませんでした。
エリスは、もしかしたら聞こえなかったのかな、と思って巨人に登りはじめました。
村の大人たちは止めようとしましたが、エリスはあっという間に巨人の耳元まで辿りつきました。

「こんにちは、私はエリス。アナタの名前は?」

エリスが大声でそう言うと、巨人がこちらを見て笑ったような気がしました。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


それからエリスは、毎日のように巨人に会いに行きました。
友達を連れてみんなで巨人に登ったり、
大きな花飾りを作って巨人を飾ったり、
雨に濡れないように帽子をプレゼントしました。

いつの間にか、村の人達もエリスと仲良くしている巨人を受け入れるようになりました。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


エリスが結婚することになりました。
エリスは巨人も呼びたかったけれど、教会に入らなかったので、巨人の前で結婚式をしました。
エリスがブーケを投げると、巨人がこちらを見て笑ったような気がしました。
新郎と神父だけは苦い顔でした。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


エリスの子供が巨人に登るようになったある日、エリスは重い病気にかかりました。
医者の宣告を聞いて、エリスは言いました。

「巨人の前で死にたいな」

エリスは巨人にさよならを言うと、ひっそりと息を引き取りました。

と、巨人が屈んで、エリスに顔を近付けました。
みんなは、エリスに別れを告げるのだろうと、初めて喋る巨人の声に耳を傾けました。

「こんにちは、ボクの名前は……」
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コント「イカタコ」

紅男「はい、どーも〜、イカ様はタコなぐり(コンビ名)です。今回はコントライブなのに何をトチ狂ったか漫才をやろうかということでね、あれ、僕一人だけ? いや、あの、二人漫才なので、ちゃんと相方がいるんですけどね、おかしいなー、なんて」

蒼太「……(のそのそと出てくる) 」

紅男「ちょ、早く、はやメニー! はい、というわけでね、お揃いの色違いジャージとか着てるように、僕たち意外と長い付き合いでして、こう腰を据えてね、ネタ合わせとかしたんですけれども」

蒼太「ふぅ(パイプ椅子に座る)」

紅男「あれ、ちょっと、ホントに腰を落ち着けちゃったよ、まままま待ってください、一人が座ってのんびりな漫才とかないですよ、前代未聞ですよ、ツッコミが頭の上を華麗にスルーしますよ、ヘイ、スタンダップ! スタンダップコメディってどういう意味だろうねスタンダップ!」

蒼太「死ね」

紅男「ええええええ、あ、あの、あれ、死ぬほど疲れたって意味ですよね、昨日も公演あったしね、ってそれは僕の話なんですけれども、でも、その、何だか新しい漫談の形みたいな、一人が優雅にボケる、みたいな前代未聞な感じで、色々腑に落ちませんけれども、いいんじゃないでしょうか」

蒼太「……(タバコを出す)」

紅男「ちょいちょいちょいちょーい、ターバコはその、ターバコは色々まずいのではないでしょうかね、ダンディズム的な匂いを二つの意味で醸し出せる気はしますけれども、まぁ、肺がんは医学的にウソだと知っちゃってるから止めにくいんですけど、単純に煙いからやめてほしいみたいなね、ホント勘弁してください」

蒼太「火」

紅男「あ、はい(ライターで点ける)あの、僕わっかが出来ないんですけどどうすればってしもうたっ、やられたよ、コレで僕も共犯というわけですか、ふふふ僕の下っ端体質を利用するとはやるじゃないですか、でも諦めないから、ネバーギブアップの精神で頑張るから、人生と同じ、ね!」

蒼太「黙れ」

紅男「あ、はい…………というわけでね、力関係がなんとなく理解されたところでね、ネタのほうに入りたいとね、長かった〜、ここからが本番だぜ、よし深呼吸」

蒼太(煙を顔に吐き出す)

紅男「げはっ、ごはごひゅっ、やめて、ホントやめて、何が悲しくて間接的に二酸化炭素を交換しないといけないですか、ていうかタバコネタとか消されるからマジで(消えました)」

蒼太「黙れ」

紅男「やりたい放題かよ! 今からネタフリするから、お願いですから黙って聞いててくださいと必死に懇願する自分が可愛くてしょうがないよね」

蒼太「ちっ」

紅男「舌打ちだよー、すごいなー、ここまで簡単に空気を重くする呪文があっただろうかいや多分どっかにある。冷え切った客席に圧力でさらにいたたたまれない感じになったけれども、でも諦めないから、ネバーギブアップの精神で頑張るから、禁煙と同じ、ね!」

蒼太「はやく」

紅男「言いますよ! もうなんかこのままネタが言えなくて終わったほうが面白いんじゃないかと思ったけれども言いますよ! あのー、メイド喫茶ということでね、やっぱり制服のメイド服が可愛い。ね!」

蒼太「……」

紅男「あ、あれ、今のメチャクチャ受けやすいフリだと思ったんですけど、ていうか、台本だと「バイオハザードみたいにな」ってボケるところなんですけど、、もう一回いってみようか、メイド喫茶ということでね、やっぱり制服のメイド服が可愛い、コレは着てみたい。ね!」

蒼太「……」

紅男「ちょっとぉ、ノるなり突っ込むなりしてもらわないとただの変態じゃないですか、ただでさえ僕ら風貌がアレなんですから、ていうか何でさっきから黙ってるんですか、あ、あれか、さっきネタフリの間黙ってろって言ったからか、なるほどな、子供かアンタ!」

蒼太「死ねよ」

紅男「ええええええ、確かにメイド服着たいなんて公言する人間は死ぬべきだとは思いますけど、ツッコミが辛辣すぎるのではなかろうか、ていうかさっきから三文字以上で会話してないですよアナタ、もっとこう、話を受けて広げて膨らませて」

蒼太「ぷい」

紅男「そりゃ膨れっ面だ、可愛いなオイ! 萌え萌えな仕草でファンをがっぽりってか、メイド喫茶だしね、僕も語尾に「ニャンコが毛玉食ってゲロ吐いた」とか付ければ萌えますかね!」

蒼太「はやく続けろよ」

紅男「何様だよアンタ! はいはい、王様って言うんでしょ」

蒼太「お天道様だ」

紅男「天文学的レベルだよ! もう話が進まないし進めるほどの話でもないし、五分という時間をコレだけ無駄に使ってるのはうちくらいでしょうね」

蒼太「存在が無駄なんだよ」

紅男「ですよねー! だんだん口数が増えてきたと思ったらコレですよ、はいはい、続けますよ都筑哲夫、誰だよ。そうだよこうやって一人でボケて突っ込めばいいじゃないか、いつもそうやって生きてきたじゃないか」

蒼太「……」

紅男「誰も俺のことなんか見てくれが悪いから見てくれないし、愛してくれないし理解しようともしないし、一人だ咳をしても一人だ、孤独だ、どうしようもなく孤独だ。ルサンチマン! うううううう」

蒼太「……悪かった」

紅男「え?」

蒼太「悪かった」

紅男「もっかいもっかいもっかい」

蒼太「ちゃんと漫才しよう」

紅男「ひゃっほー、言質取ったー! ざまみざまみー。まぁ、コレに懲りたら僕がボケたら突っ込んで僕が突っ込んだらボケてというどっちがどうだかよく分からない漫才をしようかあ〜は〜ん?」

蒼太「死ね(殴る)」

紅男「ぶひょー、遂に手が出たー! 客席はおそらくドン引き、怖い、怖くてアタシ見れない、というわけで感動路線も失敗でした、端から成功する気はありませんでした、と。ルサンチマンてアンタ。ツラちゅストラかい噛んだ」

蒼太「は・や・く・続・け・ろ(リズミカルに蹴る)」

紅男「はい、やります、ありがとうございます! ふぅ、あんまり蹴られて悦んでると僕がドMだってバレちゃうよ。ちなみにドMのドは超弩級のドね」

蒼太「ムチとナイフどっちがいい?」

紅男「わぁ、そこまでの公開プレイはまだ早いというか。続けます。えーと、メイド喫茶ということは、やっぱりアレがあるんですかね、食物をこうスプーンで口に運んで「はい、あーん」っていう例のアレ」

蒼太「あぁん?」

紅男「違う! そんな「文句あるのかこのビチビチビッチが、あぁん」みたいな喧嘩を商取引する感じではなくて! でもでも、ヤンキーなメイドが頬染めながら「あたいの飯が食えないってのかい、アンタあたいのなんなのさあぁん」みたいなのはいいね、すごくイイよ」

蒼太「……」

紅男「はっはっは、そんな冷めた目で見たって僕を悦ばすだけだぞぅ、やっぱりそういう風にメイド喫茶も数が増えて過当競争の時代に入ってると思うんだよね。だから店ごとの特色をもっと出すべきだと思うんだ」

蒼太「死ねよ」

紅男「うん、確かに萌えについて真面目に語るって言うギャグは分かりにくかったかもね。でも、もう少し人間の言葉で突っ込んでほしいな」

蒼太「俺のことバカだと思ってるだろ」

紅男「いや、その親戚くらいだよ。まぁ、ブルマやスク水みたいな分かりやすい露出の高さもいいけど、希少価値を高めるために月一くらいにするべきだよね」

蒼太「店の経営に口出すなよ」

紅男「メイドに手出すよりマシでしょガハハハ!」

蒼太「……(ハケる)」

紅男「それで、価格も安さで勝負してもいいと思うんだよね、おかわり自由とかね、いやいや、おさわり自由じゃ夜にしか営業できない店になるよ、はっはっは、あれ、どこ言ったの、一人で下ネタとか死にたくなるんですけど、おーい」

藍栖「あは♪」

蒼太「これ、新しい相方」

紅男「えー! 寝取られたー!」

藍栖「メイドを寝取るよりマシでしょ♪」

紅男「言ってること俺と同じじゃないか死にて〜!」

蒼太「はい、オトせ」

藍栖「もう漫才はコリゴリ♪」

紅男「アンタが言うな!」
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「社長の憂鬱」

寝覚めは最悪だった。
頭脳の鈍化を自覚させる鈍痛が、ただただ疎ましい。

PCの立ち上がりよりも遅いとは、人間の脳も大した性能ではないな。
スリープモードから復旧する画面を見つめながらそう思う。
メールにサッと目を通して、重要な案件にだけリプライをする。
IT企業の社長などをやっていると、コレも仕事の一つではあるので気が抜けない。

スケジュールが記されたメールを印刷して、社長室から併設してあるオフィスへ出る。
と、そこに秘書でもあり開発主任も兼ねている安曇るり嬢が来ていた。

「おはようございます」
「コーヒー頼む」

彼女はW大卒の才媛で、うちの下請けでくすぶっていたところを引き抜いたのだ。能力もさることながら、スーツの似合う痩身に惹かれた部分も大きい。やはりパソコン同様、実用品はビジュアルで選ぶべきであるというか。
まぁ、眼鏡もかけているからという理由で秘書もやらせているのはどうかと自分でも思うが。
いや、ちゃんと給料上乗せしてますよ?
最大のポイントは、私が上司ではあるのだが彼女のほうが歳が上なので敬語で嘗められている感じが堪らないというか、あ、はい、もうそろそろプロフィール紹介というか萌えどころの列挙はやめようと思います。

「おはようございます」
「……おはようございます」

良家の子女らしく礼節にこだわるようで、私に挨拶を強要してくる。そんなものは狭いコミュニティの中では必要ない不合理なものであると思うのだが、前述通り、このような子供扱いが堪らないので黙認している。
というか、強要されたくて挨拶をしないのだから、根本的な解決になっていないような。
あと、私が挨拶するまで笑顔で繰り返す頑固なところがたまりまへんな〜、ぐへぐへ。

「コーヒーを頼む、ミルクたっぷりで」
「はい」
「あと、このスケジュールを貼り出しておいてくれ」
「はい」
「今年度から経費の書式も変更しておいてくれ」
「はい」
「社内恋愛しようぜ」
「イヤです」

はい、今度も指示に混ぜて告白が失敗。
まぁ、朝方に急に考えた策ではこんなものか。退社前の気が抜けた時間にもう一度試してみよう。
何度か直接的な愛情表現に訴えているのだが、取り合ってくれません。
というか、1日50通送っている告白メールが迷惑メールフォルダに入ってるのを見たときは(ハッキング)本気で凹んだな〜。

「俺の味噌汁を作ってくれ」
「デスクに置いてあります」
「俺と一緒の墓に入ってくれ」
「パンフを送付しておきます」
「キミのことずっと見てたんだぜ」
「では、ずっと見ていてください」
「俺のUSBをインサートさせてください!」
「型式が違います。お問い合わせください」

そつがなーい! っていうか、隙がねーよ!
ふっ、オーライオーライ、これでも業界では名の知れた最先端のIT企業社長さんですよ?
いやー、動画のモザイクを自動的にトリミング修正するソフトがあんなに売れるなんて、いや別にそれはどうでもよくて。
権力にモノを言わせて、肯かせてやればいいんじゃない!?

「ふっふっふ、お嬢さん」
「セクシャルハラスメントですか?」
「給料をあげてほしかったら」
「パワーハラスメントですか?」
「今度、酒でも飲みながら」
「アルコールハラスメントですか?」
「キミねぇ、早稲田卒だからって」
「スクールハラスメントですか?」
「み、み、み、水虫のくせに!」
「ドクターハラスメントには無理がありますよ?」

ふんにゃあ、何でもかんでもモラルハラスメントにされた!
う、訴えるのだけは許してください!
スモークハラスメントはまだだけど、私は煙草をやらないので。線香でもたくか。

「線香をたいてないで、食事を済ませてください」
「あ、はい」

おふざけはコレくらいにして、デスクに座る。
朝食は摂らない主義なのだが、彼女が手ずから作った味噌汁を飲まないわけにはいかない。
明らかに松屋の袋に入ってるが飲むのだ。

食事を手早く済ませて、洗面台に立つ。
いつも思うのだが、食事のあとに歯を磨いたほうが合理的だと思うのだが、そう言うと皆、変な顔をする。何故だ。

「びょぶにょぼべべば?」
「歯ブラシを抜いてから話しかけてください」
「今日のぐじゅぐじゅぺっ?」
「語尾を上げて口を濯がないでください」
「今日の予定はムーイムーイムーイ」
「髭剃りで聞こえません」

埒が明かない。
ていうか少しは動揺して慌てる可愛いところを見せてポイントを上げたらどうなんですか?
まぁ、髭剃りをする私を見て笑っているのはなんか可愛いけど。

「今日の予定は?」
「八時半から外出の予定になってますよ」

あ、そうだ、今日は大事な用があったのだ。
急いで外出用のスーツを着て支度を済ませる。

「頑張ってくださいね」
「別に頑張ることはないよ」

遅れることは許されないが。
私はランドセルを背負い、ドアを開ける。

「行ってらっしゃい」
「…………」
「行ってらっしゃい」
「行ってきます、母さん」

今日は入学式だ。
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「警鐘」

今日で2006年も終りか、くだらない年だったぜ、社会情勢とか芸能情報とか関係なく、というかそれを含めた上でクソくだらない最悪な年だったな。就職も決まらないし彼女も出来ないし友達はいないしバイトはクビだし、ああ飽食の現代日本の犠牲者、死にたい。
紅白見て蕎麦食って寝るか。わぁ、ステレオタイプな大晦日。独り暮らしだと季節に忠実になる気がしないでもない。

ゴーン

おお、除夜の鐘だよ、俺の年末気分を盛り上げようとしているわけか、気分悪いわ馬鹿にしてんだろ煩悩消せってか、お前が消えろ。食欲なくなったよ蕎麦なんて食ってられるか。

ゴーン

ああああ、うるせぇ、けっこう近いな、こんなもん百八も聞いたら頭割れるわ、ていうか寝れるかボケ!

ゴーン

っかしいな、確かさっきまで死ぬほど腹減ってて、猛烈な眠気があったはずなんだが、まさか煩悩っていうか欲求が一個ずつ消えてるとかそういうベタな流れじゃないよな。
ふざけんな、そんなありがちなネタで強豪が集う除夜の雑文祭を勝ち抜けると思ってんのか、どいつもこいつも見返してやるんじゃあ!

ゴーン

うん、勝つとか負けるとかそんな些細な価値観どうでもいいよね、大体、こんな序盤でそんなメタなこと言ってる時点で勝つとかないよね。紅白もどうせ白組の勝ちだよ。
やべぇやべぇやべぇ、今更ながら現実的な危機感が襲ってきましたよ、ていうか食欲無くなったとか、死亡フラグじゃね?

ゴーン

慌てる乞食はもらいが少ないといってね、慌てない慌てない一休み一休み。
え、鐘の音が行数稼ぎ? あわてないあわてないひとやすみひとやすみ。

ゴーン

落ち着いて検証してみようじゃないか、ここに年末商戦に先んじて購入した任天堂の家庭用ゲーム機Wii(税込¥26250)がある、もし本当に欲求がなくなって物欲が無くなってるとしたら、コレがためらいなく壊せるはずだ。
なんかもうオチが見えてるんだけど、今更やめるわけにはいかないんだ色んな意味で。

ゴーン

ハイ、今のは鐘の音じゃなくてWiiリモコンを本体にぶつけて百メガショック、
とフェイントかけてラリアットで粉砕した音ですよ?
ココで例の叫び声ね。
ウィ――――――!
はい、分からない人にはとことん分からないダジャレで申し訳ない、ちなみにココで真のプロレスオタなら「ホ―!」と言うところ。

ゴーン

だからこんな独りよがりのダジャレとか言ってる場合じゃないんだよ、ちなみに性欲もなくなったようで独りよがりもしたくなくなりました、性的な意味で。
独りよがりついでにもう一発言ってみるか。
カルロス

ゴーン

ぶははは、くだらなさココに極まれり、皆がさざ波のように引いていくのが手に取るように分かる。あまりの寒さに血の気も引いてまーす。
ちなみにルノー、日産自動車の最高責任者カルロス・ゴーン氏の妻であるリタ・ゴーンは、恵比寿で中東料理の店を経営している、という蛇足的無駄知識。

ゴーン

ふふふ、そんな知識以前の無駄情報など生きていくで何一つ役に立たないよね、これも情報化社会の弊害かな、賢者も「金を選ぶべきだった」って言ってたし(ネタバレ)
さて、知識欲もなくなったところでアレだけど知恵はなくなってないので、鐘が百八回鳴り終わる前にココから逃げ出すという対処法を取らせてもらおうか。
ちぇ、早く思いつけばよかった、ちなみに今「知恵」と「ちぇ」をかけて

ゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーンゴーン

じゅ、十六連打!?
卑怯だそんな小技使いやがって、わわわわわわなんだなんだ何が消えた俺の中から大切な何かが消えていく感覚そうだ自分の大切な思い出を信じるんだ、ああ、実家に残してきた愛猫ことらは元気だろうか小さいトラとか我ながら良いネーミングセンスだ、ああ、食べちゃいたいほど可愛いことらモツ煮にして喰いたかった。
わーわーわー、りりり倫理観がなくなっとる、動物に対する保護意識が全くない、今の俺ならカーペットの上からハムスターを圧死できるし猫を二階から放り投げられるし犬を相手にしっぽりと忘れられない夜を過ごせそうだ!
があああああ、何だかとっても服を脱ぎ去りたい気分、これは脱オタファッションに身を固めた俺から虚栄心がなくなったということの顕現なのかいや違うコンプレックスの塊である恥部を人に見られてどうこうというちゅうちちん噛んだ羞恥心がなくなっているんだとゆーてる間にも全裸へとメタモルフォーゼンバーグ(ロシア訛り)している俺この真冬に全裸とは生命に対する危機意識までなくなったか寒さで鼻水が秒速三センチもの速さで鼻の下を走り抜けるこれはエロイことを考えて鼻の下を伸ばさねばあごの下まで到達してしまうそうだ性欲はとっくに無くなっており亡くなっており股間に一物手に荷物で有名な愚息はもう一生怒髪天を衝くこともなくああこれは末代までの恥いやいやその末代が俺で終わることを意味している。
嫌だいやだイヤダ死にたくない死にたくない死にたくない死にたくないおお、生へ対する欲求死に対する恐怖はまだ残っていた性への希求は果てたというのに、なんかこうやって死への嫌悪とか考えてると哲学的な小説のようではありませんかそう私は俺は僕は欲求から解脱を果たすことによって確実に偉人奇人変人怪人超人へと近づいているそうだカップルを殺しに街へ出ようこれこそツラチュストラ噛んだ上に忘れたまあとにかくどこぞの阿呆が生み出した超人思想である若者よ書を棄てよ街に出よ悩みがあるならソープに池沼って童貞でありながら到底できぬ筈の道程を歩んでいるるるるー我様どうでぃ

ゴゴゴゴーン

ほら除夜の鐘もベートーベン交響曲第5番 ハ短調 「運命」のリズムで僕ちんを祝福してくれているよく考えたら凄いテクじゃねこの技量の前ではえ今の四回にカウントされんのなどというツッコミも遠き彼方の貴女のソナタコニカミノルタルチャリブレ123フォールで偏平足が治ったわ自分嬉しいっすさてそろそろ読み飛ばす奴も出てきたところで本音トークで語ろうかねくくくこうやって壊れた文体の中に素の文章を混ぜる高等テク名づけてコニカミノルタルチャリブいやそれはもういい俺が言いたいのはあ何故さっきから一人称が変化しているかというとレビューされた時に一人称が揃ってないとか指摘してくる馬鹿を嘲笑うためさいやしかし句点読点点心が無い時点でツッコミどころ満載なわけだが

ゴーン

ああそういえば煩悩がなくなってるという設定だっけしかし108じゃ足りねぇよな正直な話あらゆる毛という毛を抜きたくなる欲求とかなんて呼ぶんだよ探求心か文字通り不毛な行為じゃねぇかまぁ不毛といえばこんな文章読んでる奴の方がよっぽど不毛だけどな覚えておけ書いてる方はもっと不毛なんだいや禿げてるって意味じゃなくてさてそろそろまた壊れるかきゃっほーい日がな一日ゴロゴロしていたーイってあんだけ煩悩無くなってこの欲求がまだ残ってんの佳代お前佳代だろオレッチだよ忘れたのかそうかアレからもう二つの年号がすぎていったからなまぁ五年って事だけどはやっ天皇死ぬのはやくねこんなの書いたら不敬罪に当たるよ罰金取られて不経済だよそうだ今こそあのテロップこの文章は実在の人物団体トラストカルテルコンツェルンジャスラックとは何の関係もございませんもうなんか壊れるって言うよりグダグダな文章だなさてそろそろ何事も無かったような顔して顔だけならタダだ本筋に戻ろうか廊下に戻ろうか。

ゴーン

ああ、頭がクラクラしてきた、鐘はあれから何回響いただろうか、もう自分が何を考えていたのかもよく分からない、ていうか思い出したくない推敲したくないアカ入れたくない、句点読点だけでも入れればよかった、はっ、もうダメだ意識が朦朧としている、ああ、俺は死ぬのか、死ぬのを怖がっていたのが遠い昔のことのように思える、とてもいい気持ちだ、鐘の音で一種の催眠状態なのかもしれないけど、こんな風に楽に死んで行けるならいいかもしれないな、未来に希望が無いから死ぬなんて分かりきっていることじゃないか、そうだただ退屈が怖いんだ。
さぁ目を閉じて。
願わくばこの文章のオチがダジャレではありませんように。

ゴーン

蒼太「そして数日後、男の部屋に入るとそこには一つの大きな鐘があったとさ」
紅男ツッコミ「おっかね〜!」
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「負け犬達の挽歌」

クリスマスの夜にお見合いパーティに来てる奴というのは、いわゆる「負け犬」だ。
三十過ぎの独身女だけではなく、そもそもこんな見え見えの企画に来る人間が負けているのだ。
孤独感とか、社会の目とかに。

そもそも、誰も本気で相手など探していないのだ。
ただ単に聖夜の夜に何もしていないというプレッシャーに耐えられない弱い人間が群がっている。
こんなレベルの低いコミュニティでも恋愛事である以上、優劣は決定される。
真面目に相手を探せば、傷つけられるかもしれないのだ。
だから皆、なあなあな態度で適当に会話をしている。

本当に情けない「負け犬」どもだ。

斯く言う俺も参加者の一人である。
相手探しはまぁ適当にやれば、傷心の女でも見つけられるであろう。
十人並みの容姿でもあればお持ち帰りできるというわけだ。
「負け犬」ではなく「ハイエナ」と言ったところか。
多少は能動的だと自分を納得させて獲物を探す。

やはりレベルが低い女ばかりだが、ここで妥協してもしょうがない。
どうせ一夜限りの関係だし、欲張っても仕方がない。
平均より少し上の人間を探すのがコツだ。

と、ひときわ目を引く白いドレスの女がいた。
シックにまとまっているし化粧も地味目に抑えているが、アレは上物だ。
なにやら花束のようなものを抱えているが、それを時々椅子に置いて食事に手をつけている。
隅の前菜コーナーにいるために、誰にも話しかけられてはいないようだ。
チャンスだ、これを逃す手はない。

だが待て、こんなレベル低いパーティの中に普通に美人がいるのに、誰も話しかけないなんておかしい。
何か裏があるのではないか。
俺は今までの経験から、無数のパターンをシミュレートする。

‥吐
「貴方と私は前世で恋人でした、ていうかやっと会えたわロシナンテ、さぁ早くあたしを抱いて!
ていうかよくもあたしを捨てやがったな死ねえええぇぇぇ!!」

しょっぱなから死ぬかと思ったぜ。

▲丱張ぅ
「あの、私一度離婚してて、まだ裁判で訴訟の最中なんですけどそんな女でもいいですか?」

一夜限りの関係なので、美味しくいただいちゃいました♪(最低)

E吐硲
「貴方と私は前世で恋人でした、ていうかやっと会えたわロシナンテ、さぁ早くあたしを抱いて!
ああ、やっとロバから人間になれたのね!!」

さらに重症の女でしたが実害はないので美味しく(略

ぅ丱張淵
「あの、私七度離婚してて、まだ刑事裁判で拘留の最中なんですけどそんな女でもいいですか?」

通報しました。

ヅ吐硲
「貴方と私は前世で恋人でした、ていうかやっと会えたわロシナンテ、さぁ早くあたしを抱いて!
さぁ、縄に蝋燭に鞭よ、さぁ、縛って垂らして叩いて!!」

公開SMプレイで出入り禁止になったよ。

κ兮
「ひゃっはああああああ!!」

いきなり裸になるな。

ふぅ、思えば美人に限って変人だった。ていうか電波ばっかりかよ。
これだけ修羅場をくぐってきた俺だ、どんな女でもかかってこいや!

覚悟を決めた俺は、白いドレスの女に話しかけようと、前菜コーナーに近づく。
と、俺と目を合わせた女がこちらに微笑みかけた。
・・・・・・ん、あの顔に何か見覚えが。

彼女は椅子からから花束を持ち上げ、いやそれは花束などではなかった。
赤ん坊がシーツに包まれていた。
その赤ん坊の顔は、どこか俺に似ていた。

「やっと会えたわロシナンテ、プレゼントがあるの」
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官能小説『露出悦楽』

私は今、プールサイドに全裸で立っている。

まだ庇の下、日陰にいる小柄な私は気付かれていない。

でもすぐに気付かれる。
大勢の人の目に晒される。

私を見て何人かが振り返るが、そそくさと離れていってしまう。

やはりもっと日なたに出なければ見てもらえない。
私の身体を。

なぜ私はこんなことをしているんだろう。
疑問が脳裏を掠めたが、答えは知っている。

気持ちいいからだ。
人に見られるのが。

はじめは服を脱いで生まれたままの姿になるだけで十分だった。
それだけで自分の殻を脱ぎ捨てたような素晴らしい気分だった。

でも次第にそれだけでは満足できなくなった。

自分の肢体を誰かに見て欲しい。
そんな欲求が自分の中で首をもたげていた。


前進する。
太陽が直接、肌を焼くような感覚。
風が直接、身体を撫ぜるような感覚。

ああ、人波の真ん中に一糸まとわぬ姿で立っている。
あまりの興奮にクラクラする。

周囲に人の輪が形成される。
みんなが私をを遠巻きに見ている。
男性の好奇の視線、女性の軽蔑の眼差し。

緊張で全身がわななく。
もっと、もっと見て欲しい。


あ……。
濡れてる。


周りの騒ぎが大きくなってきた。
このままじゃ捕まってしまうかもしれない。

それでもいい。
もっと、もっと見て!
殻を脱ぎ捨てた私を!

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

紅男ツッコミ「うわぁ、見てよアレ!」
蒼太「ああ、なぜかプールにいるんだよなぁ、ナメクジ」
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「一撃必殺」

私は剣の修行をしている。目標は一撃必殺の剣。

一打ではなく一撃。一切りではなく人斬り。



今日も私は刀を振る。

真剣に。真剣を。



師の言葉は今日も同じ。



「未熟者」



事実、その通りなのだろう。



師の剣を一度だけ見たことがある。

愚かな野盗はその一刀で、生命が弾けた。



まさに一撃。

まさに必殺。



その剣技を得るために、日々鍛錬に励んだ。

だが届かない。



いつかは掴むことが出来るのだろうか。

一撃必殺の真髄を。



「未熟者」



何千何万と聞いたその言葉。

何故か今日だけはその声が気に障る。



頭の固いクソ爺め。

斬ってやろうか。



そう思った刹那、私の頭の中で何かが弾けた。

一撃必殺とはつまり無二の剣。



ならば。

目の前にいる老人を斬り捨てれば、私は得られる。



無双の技を。

無想の業を。



そのからくりを理解した瞬間から、眼前の師は倒すべき敵となった。

師が自らの師を殺して、一撃必殺を得たことまで分かった。



そうやって受け継がれてきたのだ。

この魔剣は。



私は背を向けた師に構える。

師の頭蓋に撃ち込む感触を想像し、恍惚とした表情になる。



一打ではなく一撃。一切りではなく人斬り。

そして。



私は刀を振り下ろした。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「未熟者」



師は振り返ると、平然とした口調でそう言った。



「一撃必殺の真髄とは、剣技にあらず。

 敵の剣をものともしない、防御力よ」



頭の『硬い』クソ爺め。

いつか斬ってやる。



私は折れた刀を捨てると、

岩に頭をぶつけ始めた。
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「戦士の心」

勇者「今日がお前の最期だ!」

魔王「フハハ、やってみるがいい」

盛り上がってるところ悪いんだが。
トイレ行きたい。オシッコ。

いや、俺だって分かってるよ。
そんなこと言ったら「空気嫁」とか言われるのは目に見えてるし。
誰がどう見ても最終決戦だし。
そんな時に「小便行きたい」なんて言ったらまさに「水をさす」。
って大してうまくねぇんだよ、コンチクショウ。

第一、魔王の奴が「嘆きの迷宮」とかいう名前のふざけた迷路を作ってんのが悪いんだよ。
三時間迷ったわ。
お前は俺たちを三時間足止めして何がしたいんだって話だよ。
だいたい何が「嘆きの迷宮」だよ、誰が嘆くんだよ。
今まさに嘆いてるけどな、俺が。

ムカついたので、手にした斧で魔王を殴りつける。
魔王は一瞬キョトンとした後、いきなり襲い掛かってきた。
やべ、戦闘始まっちゃったよ、攻撃効いてないし。
まぁ、動いていたほうが気がまぎれるか。

十分後。

かてー。硬い外皮に俺たちの攻撃はことごとく阻まれる。
ていうか膀胱もヤバイ。ダブルでピンチ。

このままじゃ漏れる。
それはまずい。
俺は屈強な戦士で通ってるのに、その俺が魔王を前にして恐怖で失禁、みたいになって後世に語り継がれるのは非常にまずい。
うちのパーティには吟遊詩人がいるし。

というか今更だがなぜ詩人がいるんだ。
泡吹いて倒れてるし。

勇者の奴は必死で戦っている。
俺は尿の事情で押され気味。男として非常に情けない。
そう、勇者は女なのだ。
生まれたときから魔王を倒すために、男として育てられたのだ。

最初に会った時は可愛くないと思っていたが、時折見せる女らしさにドキッとすることもしばしばだ。
詩人の奴も「ボーイッシュ萌え!」とか言ってたし。
そうそう、この前なんか着替えを覗いてしまって、こう引き締まった身体が……。

まずい。
変なことを考えていたら、何というかこう、男性の生理がね?
俺は思わず前かがみになって蹲る。
というか戦闘中に何やってんだ、俺は。

勇者「! 大丈夫か!?」

あ、ちょっと待って。
み、見ないで、触るのはまずいって。

勇者「呪いか、おのれ魔王め!」

うん、まぁそういうことにしといて。
尿とアレとで、いろんな意味でトイレ行きたい。

詩人はいつの間に目覚めたのか、俺達のほうを見てニヤニヤしていやがる。
というか、戦えお前は。

俺は僧侶を見る。
何かこう、膀胱から尿を取り出す魔法とかはないのか。
俺の視線に気づいた僧侶は、ポッと顔を赤らめる。
何を勘違いしてやがんだ、バカ。

睨んだのが効いたのか、僧侶は回復魔法を唱える。
全身の傷が塞がっていき、疲労も消えていく。
膀胱も活性化して収縮を繰り返す。

て、ふざけんな。

尿意が強まってんじゃねーか、マジで役にたたねーな、チクショウ。
俺がものすごい形相で睨むと、僧侶のバカはピースなんかしてやがる。
帰ったら殺してやる。

詩人の奴はPSPでオンライン麻雀やってるし。
お前マジで帰れ。

そうだ。
妙案を思いついた。いや、尿案じゃなくて。
わざと魔王の攻撃をくらって、流血とともに尿を漏らせば不自然ではない。
痛みで失禁するのは戦場では珍しくないし、恐怖で漏らしたと思われるよりはマシだ。

限界寸前の俺は、致命傷覚悟で魔王に特攻を仕掛ける。
勇者の声が聞こえるが、ココは止まれない。
隙だらけのまま、魔王の眼前へ。
さぁ、好きにしやがれ。

ドス。

あっさりと。
傷口から血が流れ落ちる。
魔王の胸から。

ああ、そうか、ここは冷えるもんな。
アンタも行きたかったんだな、トイレ。

魔王の足元。
浅黄色の尿。
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「エリスと魔女」

 あるところに魔女がいました。
 魔女はとても深い山奥に住んでいたので、誰にも会わずに暮らしていました。

 ある日、彼女は大きな楡の木の下で小さな赤ん坊を見つけました。
 魔女はその赤ん坊を自分の家に連れて帰って、育てることにしました。
 特に理由はありません。魔女は雨の日はそうするものなのです。

 魔女は自分の名前を持っていませんでした。誰も彼女の名前を呼んでくれなかったからです。
 魔女は絵本の中の少女の名前をその赤ん坊に付けました。
 特に理由はありません。その名前が呼びやすかったからです。

「エリス」

 魔女は赤ん坊の名前を呼んでみました。
 赤ん坊はそれが自分の名前だと分からず、ただ泣いているだけでした。


 やがて赤ん坊が、自分の名前が「エリス」だと分かるようになった頃、彼女は歌を覚えました。
 エリスの歌はとても美しいものでしたが、魔女はその歌が大嫌いでした。
 
 魔女はエリスに「歌うな」と言いましたが、エリスは隠れていろいろな歌を作って山の中で歌い続けました。
 怒った魔女はエリスに呪いをかけました。
 それ以来、エリスが歌うとその唇からは鈴が割れたような耳ざわりな音が流れるようになりました。

 エリスはとても悲しみました。
 魔女はなぜエリスが泣いているのか分かりませんでした。
 その日はエリスの大好きなシチューの日だったからです。
 

 エリスは絵を描くことを覚えました。
 木炭でいろいろなものを描きましたが、一番好きなのは魔女を描くことでした。
 魔女は真っ黒に塗りつぶされた自分の絵が大嫌いでした。
 
 魔女はエリスに「描くな」と言いましたが、エリスは隠れていろいろな絵を描いて部屋の中に飾りました。
 怒った魔女はエリスに呪いをかけました。
 それ以来、エリスが描くとその絵は水をかけられたみたいにグシャグシャになりました。

 エリスはとても悲しみました。
 魔女はなぜエリスが泣いているのか分かりませんでした。
 その日はエリスの大好きな絵本を読む日だったからです。


 それから何回も雪が降って、エリスはとても美しい女の子になりました。
 でもエリスは魔女に数え切れないほど呪いをかけられたので、何もできませんでした。
 そんなエリスが恋をしました。
 旅をしている詩人でした。
 エリスは歌うことも絵を描くこともできない自分がとても恥ずかしかったのですが、自分のことを好きだと言ってくれた詩人が好きになりました。
 魔女はその派手な詩人を見た途端、大嫌いになりました。

 魔女はエリスに「会うな」と言いましたが、エリスは隠れて詩人と何度も会っていました。
 怒った魔女はエリスに呪いをかけました。
 それ以来、エリスが詩人を見ると、詩人がカエルに見えるようになりました。
 エリスは恋をすることもできなくなったのです。

 エリスはとても悲しみました。
 魔女はなぜエリスが泣いているのか分かりませんでした。
 その日はエリスの新しい服ができた日だったからです。


 何もできなくなったエリスは魔女に言いました。

「私がそんなに嫌いなら、もっと呪いをかけてよ」
「もう呪いはありません」

 魔女はエリスに言いました。

 魔女は呪いをかけることしかできないのです。
 その呪いは全てエリスに使ってしまいました。
 
 魔女は魔女ではなくなったのです。魔女は「さよなら」と言うと、砂になって消えてしまいました。
 エリスはとても悲しみました。エリスはなぜ自分が泣いているのか分かりませんでした。


 ある日、エリスは大きな楡の木の下で小さな赤ん坊を見つけました。 
 エリスはその赤ん坊を自分の家に連れて帰って、育てることにしました。
 特に理由はありません。魔女は雨の日はそうするものなのです。
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「合理的な関係」

非常に非合理的なことなのだが。
現在、私は来ることのない人間と待ち合わせをしている。

別に死別した人間というわけではない。
以前、親密に交際をしていた女性との約束であったのだが、現状での交友はまったくない。

「毎年、決まった日時に特定の場所で会う」

といった約束なのであったが、交際関係が解消となった今となっては、無効なのだろう。それは理解できる。


それなのに。


私は決まった日時に特定の場所、つまり今この場所で彼女を待っている。
これはどういった観点から見ても、馬鹿げた行為だと断定できる。


彼女は来ない。


来るはずのない人間を待つ事ほど、無意味な行動はないだろう。
時間の浪費、徒労の類である。
合理的ではない。


それなのに。


彼女という人間との約束を守っているのは、何故だろう。
合理的に分析してみるのなら。
もう一度、彼女という存在に会いたいのだ。私は。


彼女は来ない。


それでも僅かな可能性を認めて此処にいるのは、そんな理由だ。
合理的に分析しても、合理的な行為ではない。

私は彼女を愛している。今この時も。
別離を求めたのは彼女から。
私の態度が彼女に許容されなかった、という理由だった。

未練がましい……のだろう。
忘れるべきだ。

それでも私の携帯端末には彼女の番号が残っている。
これは自然なことだ。
消去する意味はない。


あ。


そこで気付いた。
連絡を取る手段はある。
ならば。会いたいのならば。


合理的な行為だと自分に言い聞かせながら、番号を押す。


その時、彼女を見つけた。
傍らには見知らぬ男。
寄り添っている。否、寄り添い合っている。


ああ。


簡単なことだ。
彼女のほうが合理的だった。
それだけの話だ。


私は携帯を自分の懐に収めて、その場を後にした。

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